♂♂だから笑うのか
ネットでは男同士でチンコウンコけつの穴を求める雰囲気のコンテンツ(or2次創作)をよく面白がります。
これを諫める意見はもっともなのですが、この男同士コンテンツを性的指向のラベルに当てはめて語るのは本質的じゃないのでは、という話です。
※別にこの文化を肯定したいわけじゃないです
最近FF10のMADが流行りました。
そのブームの中心にあるのはガタイのいいワッカが好青年のティーダのケツを狙う流れです。
こういった流れは今回に限りません。
パンツレスリング、くそみそ、淫夢、ホリエモンとひろゆきコピペ、格ゲーの某帝聖いじりなど…。
荒くれ男が集まるコミュニティではよく見られる流れです。
昨今は性的指向に関して理解が進んできているため、これらが普段真面目にインターネットしている人の目に触れると叱咤されることになります。
そこでよく言われる論調が
「同性愛、少数者を馬鹿に(or差別)している」
や
「性別反転してどう思うか考えてみろ」
みたいなものです。
ここで思うのは、
これらの発言が全て性的指向の枠組みで考えられたものであり、だからこそ発言する側の「このコンテンツの何を笑っているのか」の認識にズレが生じている
ということです。
私はこのコンテンツ内で描かれる性的指向が面白さの本質ではないと思うのです。
ではこれらウンコチンココンテンツの何が面白いのかというと、
・本来言わないであろうという想定と真剣な緊張感を破壊するから
そしてなぜそれで笑っていられるのかというと
・自分or身内に害がないから
だと思います。
前者に関しては、以前書いたように「緊張からの突然の解放」で滑稽を感じるというのはよく言われていることです。
うんこちんこという言葉は公衆の面前で大人が言うべきではないとされているので、それを真面目に叫ばれたら笑う可能性もあるのです。
ワッカの例で言えば電気屋で機械にキレるのもティーダのアレが気持ち良すぎると言うのも、本来のワッカはいきなりは言わないと思います。
視聴者の中のワッカの想定を急に裏切ってくるから面白いのです。
ポルノビデオの粗を探して笑う文化も、その性的指向を面白がっているのではなく、映像作品という前提がありながらツッコミたくなる言動があって緊張から解放されるから笑っているように思うのです。
(画像元:聖剣使いの禁呪詠唱(ワールドブレイク) | アニメ動画見放題 | dアニメストア)
アニメでもありますね、シュールな笑いを探したくなる作品
※もちろんこの側面において「下ネタが苦手」という方は出てきます。
その人におけるちんこうんこがどういう概念か、衛生観念・貞操観念はどうかというところは個々で異なるでしょうから。
以下では下ネタが苦手な人の視点は除外させてもらいます。
あくまで性的指向を軸に批判する人に対する話です。
そして重要なのが後者の笑っていられる理由です。
今回のワッカでキレていた方には
「自分が感動したFF10を汚すな」
という思いがあったように思います。
つまり
「自分が夢中で楽しんだコンテンツが荒らされて困る」
という視点です。
また指摘する側の
「じゃあFF10のヒロインのユウナに同じこと言わせてみろよ」
という切り返しがあり、それに対して
「もう言われてるんだよなあ…」
というオタクのニチャアが決まった場面もありました。
その他にアイマス系列やまどか☆マギカの同種のMADも盛んに作られています。
そして明らかなこととして、それら派生形を作った人々にとってその動画は害になってないです。
ここで言う害とは何か?
それは
自分の心動かされた思い出が汚される
身内がけなされることにつながる
日常的に見かけるエロコンテンツに身が入らなくさせられる
などです。
つまり上で挙げた「ユウナに置き換えてみろ」は、ワッカをネタにされても問題なかった人間にとっては、日常的にユウナのエロ同人やコスプレAVでしこってない限りは問題ないのです。
たとえこれを面白がっている層が異性愛者の男性ばかりであっても、女性をネタの主軸に変更して問題ない場合があると思います。
以上見て分かるのは
・怒る側はこのコンテンツによって害される部分がある
・楽しむ側は害される部分がなく、害されない範囲で主軸となる性的指向を変更しても問題ない
ということです。
コンテンツが流行るのは大多数の好みに合ったからで、そこには利用者の大多数が害にならない領域が主軸になっているという構図はあります。
だから頻繁に男同士コンテンツが流行ることになりますが、そこにあるのは性的指向への侮蔑的視線ではなく、安全圏からうんこちんこ言える気持ちよさです。
上の美少女コンテンツとちんぽ気持ち良すぎの流れを見れば、今回のワッカ×ティーダが守備範囲ではなかったり、視聴者からの同性愛に対する侮蔑的視線を感じない場合であれば男性の同性愛者もワッカコンテンツを楽しむ事例があってもおかしくありません。
以上のように、ネット上で流行る下品なコンテンツを語る際は、既存の性的指向のラベルに当てはめるのではなく、個々人の守備範囲や被害が及ぶ範囲に則って議論した方が建設的です。
性的指向のラベルに則って議論するとかえって差別の方向へ議論が転びかねません。
「ユウナに置き換えたらどうだ?」
ではなく
「お前のお気に入りのおかずのメインキャラに置き換えたらどうだ?」
「お前が昨日感動した作品のキャラに置き換えたらどうだ?」
です。
さて、ここまでうんこちんこコンテンツを擁護するかのような論調で書いてきましたが、流石にもろ手を挙げて褒められるコンテンツではないです。
イカれた言動をする人物を"嘲笑する"という構図ではあるので、これを許容しすぎると自分の害になるコンテンツが流行った時かざす剣がなくなってしまいます。
しかしネットの荒くれにやめろと言っても聞きませんので、不快だという人の意見が踏み倒されることがないよう、そもそもその意見が出ないレベルにゾーニングをしっかりするのが重要なんだと思います。
そしてその不快という意見に性差別があるのかという点は慎重になってほしいというのが今回の記事の意図のひとつでもあります。
※自分もネットのネタが笑えね~と思ったことはあります。
時間停止モノを揶揄する「止まらない犬」のくだりはうーん…という感じでしたし、お見送り芸人しんいちさんの「ロボット大会決勝であたふたする眼鏡好き」というくだりには同胞を傷つけられた感じがして笑えませんでした。